麦茶の歴史
麦茶が飲用され始めた頃~江戸時代まで
麦湯(麦茶)は、平安時代より室町時代までは、おもに貴族が飲用していました。 その後、戦国時代から武将も飲用し始め、江戸時代には屋台の「麦湯売り」が流行るまでになりました。 天保に書かれた『寛天見聞記』には「夏の夕方より、町ごとに麦湯という行灯を出だし、往来への腰懸の涼み台をならべ、麦店を出すあり。これも近年の事にて、昔はなかりし也」 とあるように専門店である「麦湯店」も出現しました。これは麦湯の女と呼ばれる14~15歳の女の子が、一人でも食事も何もなく麦湯のみを4文ほどで売るものでもありました。 大麦の収穫時期は初夏であり、獲れたての新麦を炒るのが美味であるため、夏の飲料をされ、愛用されてきました。 江戸末期から明治時代に入ると、麦湯店が流行ると同時に庶民の家庭でも「炒り麦」を購入し飲用されるようになりました。
冷やした麦茶の普及
昭和30年代に冷蔵庫が普及し冷やして飲む習慣が生まれ麦茶という商品も売られ始め、昭和40年代には日本全国で麦茶の名称が一般的に浸透してきました。
なお名称は太平洋戦争前に東日本は六条大麦を使用した麦湯、西日本は裸麦使用の麦茶となっていました。
昭和38年に大型コーヒー焙煎機を輸入した会社が、それを利用して麦茶の大量生産を開始し、同年に日本初のティー・バッグ麦茶(煮出し専用)を発売しました。
1965年(昭和40年)には、水出しタイプとして初のティー・バッグ麦茶が発売されました。
1978年(昭和53年)には、大手食品メーカーが麦茶市場に初参入し、冷水用と煮出し用のティーバッグを同時発売し、1980年代には缶やペットボトル入りの麦茶が発売されたことによって、規模が小さかった麦茶市場が発展して、市場規模の拡大となりました。その後ポーションタイプ(濃縮液)タイプの麦茶も発売されました。
現代において、麦茶を家庭で作る場合は、液状のものを用いて煮出すことは少なく、利便性・経済性が向上した煮出し・水出しのティーバッグを使用することが殆どであります。
ただ、これらは粒状の物と比べて「香ばしさ」「うまみ」「香り」が落ちる傾向にあります。また、麦茶の性質上リットル単位で作ることが前提となっており、また専用のボトルなどを用意する手間もかかるため、残念ながら近年では手軽に飲める缶・ペットボトル入り飲料タイプのものや、水に溶かして一人分ないし数人分を作れる濃縮液タイプのものが主流となっています。
これからの麦茶
主流となった手軽な水出し麦茶から、近年では昔ながらの煮出し麦茶の味や香りが見直されてきています。
理由としては、しっかりと時間をかけて煮出した麦茶の味はひと味もふた味も違う為です。
特に粒を砕かない「まるつぶ」のタイプは雑味が出にくく、美しく澄んだ水色(すいしょく)が特徴です。
お手軽な水出しパックに比べると「香ばしさ・60%増」「うまみ・17%増」「香り・3倍増」のデータもある程です。
また夏場の飲み物としてでなく、ノンカフェイン、ミネラルが豊富な麦茶は冬場の水分補給にも最適ですし、ホットタイプはまたさらに香り高く楽しんで頂けます。
シーンに合わせて「煮出す麦茶」「水出し麦茶」「ホット麦茶」を使い分けて楽しんでみてはいかがでしょうか?
小川の麦茶
創業明治41年以来、ずっと守り続けて来た「小川の麦茶」。何よりの特徴は、美しく澄んだ透明感のある色と、上品で懐かしい味と香りです。流通量の限られる、国内産の六条大麦を100%贅沢に使用し、昔ながらの石釜で二度煎りしています。 石焼き芋がおいしく焼けるように、石窯から出る「遠赤外線」が麦茶を美味しく煎り上げます。
人気No.1の「つぶまる」は「粒」を丸のまま使用します。だから「つぶまる」と名付けました。麦茶の粒を砕いてしまえば、少ない原料で早く色の出る麦茶が作れます。 しかし、砕いてしまったら美しく澄んだあの透明感と上品な味・香りは出せません。粒のまま、丸のままの「つぶまる」だからこそ出せる小川の味です。
また時代背景やライフスタイルの変化、お客さまのご要望に合わせて、新しいタイプの麦茶をご提案させて頂いております。 水出し・煮出し兼用の「つぶこ」は、国産六条麦茶「つぶまる」の焙煎方法を採用し”水出し兼用の麦茶”を、新しく世に送り出しました。ローストの工夫により、香ばしさから甘さまで感じる麦茶です。 えぐみのもととなる粉を分離することにより、すっきりとした味と透明感のある水色はそのままに、麦の粉が出にくいパックを使用。最後の1滴まで十分なお味を引き出すことに成功したこだわりの麦茶です。
そして、ぜひ温めた麦茶を楽しんで頂きたいと考案したのが「小川の深煎り麦茶ドリップバッグ」です。古くから日本人に馴染み親しまれてきた麦茶。 夏場だけでなく、寒く乾燥しがちな時期にミネラルがたっぷりの麦茶は水分補給以上の効果が期待できます。温めた麦茶の香りはまた格別。それを誰にでも簡単に楽しんで頂ける様、ワンドリップタイプにしたのがこちらです。 深煎りならではのコーヒーの様な深い香りと味わい。それでいてノンカフェインでミネラルもたっぷりで安心です。心にも身体にも優しい麦茶です。
わたしたちは、美味しくなる「ひと手間」を決して惜しまず、作り手の想いが伝わる製品づくりをし、生涯やりがいあるこの仕事を愛し続けます。小川は時代を超えて本物をつくり続けたい心に決めて、ものづくり、麦茶づくりに励んでおります。
小川流『美味しい麦茶』の入れ方
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やかんに約750ccの水を入れ、火にかけます。
麦茶のパック一袋をやかんに入れます。
沸騰してから弱火にしてパックを入れても結構です。
- 沸騰してから弱火で5~6分煮出してください。
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麦茶のパックを入れたままの状態で30分~1時間冷まし、
パックを取り出し、さらに冷蔵庫で冷やして
お召し上がりください。
パックを取り出す時間は好みによりますが、
あまり長い時間おくと雑味が出るので禁物です。
冷やさず、ホットで飲んでも美味しくいただけます。